「エゲメン・カザフスタン」紙への滝沢政務官寄稿

平成28年8月29日

 滝沢政務官は,セミパラチンスク核実験場閉鎖25周年国際会議「核兵器のない世界の構築」出席のため日本代表団を率いてアスタナを訪問し,現地有力日刊紙「エゲメン・カザフスタン」にメッセージを寄せました。滝沢政務官のメッセージは,「運命を共にする国から-教訓」というタイトルで,8月27日付の新聞に掲載されました。


 日本は,71年前の広島・長崎での原爆投下により,多くの人の命が一瞬のうちに奪われ,また,ビキニ環礁における核実験により,日本の漁船が被曝し死傷者が生じた。同じく,カザフスタンも,数百回の核実験の影響に晒された経験を有し,核兵器の実相を誰よりも知っている。このたび,セミパラチンスク核実験場閉鎖25周年の会議が開催され,核実験による被曝の実相が広く世界に広められることを歓迎し,カザフスタンのリーダーシップに敬意を表したい。
 
 核兵器のない世界の実現のためには,核兵器の惨禍を知ることが重要な一歩となる。その意味で,核兵器による被害の歴史を有する日本とカザフスタンは核兵器のない世界を目指す使命を有する。カザフスタンと同様に,日本は核兵器の非人道性を世代と国境を越えて広める努力をしている。
 
 例えば,日本は,世界各国で原爆展を開催している。一昨年の8月には,カザフスタン政府の協力も得て,ここアスタナで原爆展が成功裡に開催された。また,被爆体験の証言を多言語で作成し,ウェブサイトで公開している。更には,被爆者の高齢化が進む中で,被爆の実相を伝える役割を若者が担うことを目的として,2013年に「ユース非核特使」制度を創設した。ユース非核特使として委嘱された多くの国内外の若者が,国際会議等の場において活動している。更には,被爆地広島・長崎への訪問も呼びかけている。
 
 最近では,4月にG7外相会合が広島で開かれ,また,5月にはオバマ米大統領が現職の核兵器国の首脳として初めて広島を訪れ,被爆の実相に触れ,核兵器のない世界の実現に向けた力強いメッセージを発した。被爆地から発せられたこのメッセージは世界中の人々に大きな希望を与えたものと確信している。そしてセミパラチンスクの核実験場閉鎖25周年の会議も核軍縮の機運を高めることを期待する。
 
 日本は,カザフスタンとともに,昨年から包括的核実験禁止条約(CTBT)発効促進共同調整国を務め,発効要件国の早期署名・批准に向けた働きかけを積極的に行っている。また,既に5回に及び行われている安倍総理とナザルバエフ大統領との間の首脳会談の中で,2度にわたり日カザフスタン間で首脳級の共同声明を発出し,CTBTの早期発効の重要性を呼びかけている。日本とカザフスタンは,共に,核兵器のない世界の実現に向けこれからも協力していく。