爆発物によるテロ攻撃について



2015年11月23日
在カザフスタン大使館

昨今のテロ攻撃はところかまわず起こり世界中安全なところはないとさえ言えます。 事前にこれを避けることは非常に困難なのですが若干の注意で避けられる場合もあります。 今回はとくに爆発物によるテロに関して避けるための注意点、また不幸にもテロ被害を受けたときにどうすべきか説明したいと思います。


あらかじめ仕掛けられた爆弾

    これまでの例では放置された自家用車、放置された荷物、郵便物を装った爆弾などが挙げられます。 自家用車などに仕掛けられた爆弾を事前に察知するのは不可能に近いでしょうが、人の密集する場所に放置された爆弾は、ちょっとした注意で避けられる場合があります。 たとえば、付近に持ち主のいないバッグ、スーツケースなどの荷物、公共交通機関では網棚、座席などに放置された忘れ物を装った爆弾など。 もし、このような不審な荷物を発見した場合は、警備担当者などに通報するとともに、なるべく距離を置く、その物体と自身との間に遮蔽物(壁など)を置くようにしてください。


郵便物による爆弾
  • 送り主、送り主の住所が不明。
  • 過剰な金額の切手が添付されている。
  • 極端に重い、または軽い。
  • 膨らみを感じる。

不審な郵便物を受けとった場合には開封せずに官憲に届け出るなどの処置をお取り下さい。


自爆テロ

    イスラエルの統計では1/4が24から48歳の男性によって遂行されことが多いようです。 ただし最近は女性、子供、高齢者によるものも増加しているとのことです。悲惨な例では子供に爆弾を持たせ遠隔操作にて起爆すると言う例もあるそうです。


自殺爆弾を行おうとするテロリストの一般的な挙動
  • 非常に緊張したように見える。具体的には問いかけなどには返事をしない、目の焦点が合っていない。
  • 人の集まっているところに無理に入り込もうと不自然な動作をする。その挙動は周囲の雰囲気にそぐわない。
  • 警備担当者を不自然に避けようとする。
  • なにか独り言を言っている。(これは自殺攻撃を遂行しようとする前に祈りの文句を唱えることが多いため。(ヘッドセットを使って携帯電話をかけているように見える。)
  • おつりを受けとることを忘れたり、片道切符を買うことが多い。
  • 暑くないのに発汗している。
  • ある目標物に一心不乱に直進しようとする。(目的とするターゲットを発見したときなど)
  • 下部体幹部の動きが固い。(固い爆弾ベルトを巻いているため)
  • 体をまさぐるような動きをすることが多い。(衣服の下に隠した爆弾を操作するため。)

外面的な特徴
  • 季節にマッチしていない服装をしている。(真夏にコートなど、爆弾を隠すため)
  • 非常にゆったりとした衣服を着用し、体型が不自然にふくらんでいることも多い。(同じく爆弾を隠すため)
  • バックパック、スーツケースなどを持っていることが多い。
  • 手は握りしめていることが多い(起爆スイッチを握りしめていることが多く、コードが見え隠れすることもある。)
  • 重そうな物を運んでいるように見える。(多くの爆弾は殺傷能力を高めるためボルトやナット、釘などの金属片を爆薬に混ぜることが多く、重量がかさむ。)
  • 強い香水の臭いをさせていることがある。(爆発物のにおいをごまかす目的の他に、自身を殉教者と見立て死出の道にたつための死に装束として香水をふりかける例が多いようです。)

爆発物による人体被害

    不幸にも爆破テロに遭ってしまった時、身体にあからさまな損傷、もしくは激しい痛みがあれば当然医療機関に搬送されると思います。 ここでは爆発直後は症状がなくとも後から重大が症状が出る可能性のあることを説明したいと思います。

    まず、爆弾による人体損傷は爆傷(Blast Injury)と呼び、一次から四次に分類します。

    一次的爆傷とは直接の爆風による損傷のことを言い、その影響は爆発物からの距離の二乗に反比例します。 ただし、バスなどの閉鎖空間であった場合には影響が拡大します。

    二次的爆傷とは爆発による破片によって生じる貫通傷害を意味します。

    三次的爆傷とは爆風により飛ばされた身体が、建物の壁などにぶつかり傷害を受ける、もしくは倒壊した建物により身体損傷を受けることを意味します。

    四次的爆傷とは爆風の熱により火傷を受けることを意味します。

    二次から四次的爆傷に関しては上記の説明だけでご理解いただけると思いますので、一次的爆傷に関して述べます。

    一般的に爆風もしくは爆圧にさらされた人体はその瞬間的な圧力の上昇により内腔に空気を含む臓器、消化管や肺に損傷をきたします。 時には眼球が急激に圧縮され破裂することもあります。 身体外表でいちばん脆弱な部分である鼓膜はもっとも損傷を受けやすい部分であり、多くの被害者は聴力障害を受けることが多いようです。 これら内蔵の損傷は直後から呼吸困難、激しい腹痛として症状を呈するケースが多いのですが、破裂した部分が小さい場合には、 緊張型気胸(肺がパンクして胸壁と肺実質の間に空気がたまり肺が拡張できずに呼吸困難を起こす。)、腹膜炎(破裂した消化管から漏れ出た内容物によって生じる腹腔内の感染症)、 肺水腫(肺実質内の炎症)として遅れて症状を呈し最終的には致命傷となる場合があります。 これらの内蔵損傷をきたした患者は通常、鼓膜を損傷している場合が多く難聴を生じています。 災害現場もしくは搬送された医療機関では鼓膜損傷の有無にてトリアージを行うことが多いので、耳鳴りなどの症状があった場合は必ず申告するようにして下さい。 また、帰宅を許された場合でも腹痛、呼吸困難を感じたらすぐに医療機関を受診して下さい。